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研修の特徴

民医連臨床研修システム

全日本民主医療機関連合会(民医連)は、1953年の創立以来、半世紀にわたり働くものの医療機関として、何よりも地域の人々の声を大切にし、地域でなくてはならない医療機関として発展してきました。「差額ベッド代を取らない医療機関」として新聞報道されたように、常に無差別平等の医療を実践してきました。現在では約150の病院、500を越える診療所、26,000床以上のベッド数を擁し、日本でも有数の医療団体となっています。そこでは3,000人を越える医師が診療に従事しています。私たちは1960年代から研修医を受け入れ育ててきましたが、2004年の新医師臨床研修制度を受けて、さらに卒後臨床研修の整備を進め、民医連も多くの病院が厚生労働省の基幹型臨床研修病院の指定を受けています。地域でのteaching hospital" このことを大切に、私たちはこの50年間で、地域の人々と力を合わせて、約4,000人の研修医を地域に送り出しています。

民医連の初期研修目標:人権を守る基本的、総合的な診療能力(主治医能力)を獲得する

  1. 患者の全人的な理解と患者・家族と医療の目標を共有する信頼関係が構築できる
  2. 総合性を重視した、基本的な医学知識・技能の修得する
  3. 常に一人ひとりの患者の問題解決を多職種と共同してチームで指向する視点を身につける

以下、全国の民医連の研修病院で行われている初期研修について説明します。各施設によって多少の違いはありますが、同じこころで研修が行われていると理解してください。

民医連臨床研修のメリット

民医連の医師研修の特徴は以下のキーワードで表現することが出来ます

多くの患者さんを通じて豊富な疾患・病態が体験できる研修

地域の第一線医療機関の特徴であるcommon diseaseを中心とした豊富な症例の病棟患者を2年間で100~150例前後受け持ち、多くの救急患者を診察することになります。これを通して厚生労働省が「臨床研修の到達目標」でかかげている研修目標を達成できます。

安全性・倫理性を重視した研修

研修医にとっても医療事故を起こすことなく安全・安心の医療を重視することは、大変大切な課題です。そのためには経験不足の研修医が単独診療をしないことが原則です。しかし、医師の研修は「on job training」と言われるように見ているだけでは進歩しません。研修医が自分で体験し自分で考えることを行いながら、それでいて安全性を保証するスタイルが屋根瓦方式に代表される重層的な指導体制と他のスタッフの医師研修への参加だと考えています。また、患者さんの命と健康、そして人権を守る立場から、初期研修において臨床倫理を深く学ぶことを重視しています。臨床倫理カンファレンスの参加などを通じて、鋭い人権感覚を持った医師へと成長していきます。

熱意と責任を持つ指導体制

臨床研修推進財団がおこなう指導医養成講習会や、医学教育学会・プライマリケア学会など主催の指導医セミナーにも多数参加しています。また、民医連内の幾つかの研修施設が単独あるいは共同して一流の外部講師を招いて独自の指導医セミナーを随時開催しています。医学教育学会に民医連から多くの演題発表があることもその熱心さを物語っています。指導医養成で最も大切なのは、最新の行動科学的な教育技法を学ぶことは勿論ですが、熱意と責任性を持って研修指導に当たるというその心根をどう育成するかということだと私たちは考えています。そのためには病院組織全体で研修に取り組む姿勢やその地域で医師を育てようという雰囲気をつくることが重要です。

私たち民医連は約50年間に渡って本格的に医師研修に取り組んできた歴史を持っています。国から何も保障がない時代から、患者さんの立場に立てる医師づくりこそが日本の医療の発展の保証であるという視点を堅持して取り組んできました。私たちのFDは今後も絶えることなく続いていきます。

研修医自らがつくる自分たちの研修

民医連の研修病院には「研修医会」という組織があります。ここでは日頃の自分たちの研修について率直な意見交換をしたり、指導医の前では言いづらい不安や不満などもおおいにはき出し合います。また定期的な学習会や研修管理委員会への研修改善の提案なども行います。このような研修医が自ら自分たちの研修を改善する試みは、今後の日本の医師研修のスタンダードとなる、優れた取り組みだと考えています。

対等なチーム医療での研修

多職種参加の症例検討会などに代表されるように、医師と他のスタッフが対等な関係で患者さんに関わっていることは民医連が大切にしている特徴です。その中で研修医は謙虚で真摯な姿勢と、他のスタッフと力を合わせることの大切さを学びます。また民医連の研修病院は大学とは異なり単一の医局です。様々な科の医師が日常的に顔をあわせます。他科との連携が良く垣根が低いため相談するのも容易です。カルテ開示や医療倫理、医師研修の課題などについて全科の医師で話し合います。

また、民医連では指導医からの評価だけではなく、看護師や薬剤師、放射線技師、事務など他のスタッフからも研修の評価を受けます。あくまでも「育てる立場」での厳しい指摘も飛び交いますが、対等なスタッフ関係という民医連の特徴があるからこそ出来る安全性の保証です。

地域住民とともにつくる研修

民医連は医療生協の組合員や、「友の会」の会員など地域住民の方々とともに地域の健康づくりに日々取り組んでいます。これら地域の方々が医師研修に積極的に関わっているのも民医連の初期研修の大きな特徴です。この方たちの協力で模擬患者(SP)を育成して実際の医師研修に活かしていたり、研修管理委員会に参加して患者サイド・住民サイドからの研修評価をしたり、地域での健康増進活動に研修医を参加させたりと形態は様々ですが、「地域住民の視点で医師を育てる」という昨今の医師研修に関する世論の動向を十分に意識した研修だと考えています。

全国ネットの多彩な研修

民医連は全国津々浦々にあり多彩な活動を行っています。山村あり離島あり、そして公害や職業病、被爆者医療、平和問題、反核医師の活動などにも積極的に取り組んでいます。その他救急医療に力点を置いているところもあれば、総合診療や家庭医療を担う医師を育てようと必死に取り組んでいるところもあります。どれも全て民医連です。そんな多彩なフィールドが研修の土俵になります。