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初期研修

密着レポート

土庫病院は地域住民の要求でつくられ、地域住民の参加による運営を行っています。医療を提供するだけでなく保健予防を重視し、地域に働きかけるプライマリ・ヘルス・ケアを実践し、地域の患者・住民に求められる臨床医となることをめざしています。研修の特徴は「主治医研修」です。セカンド・サードの主治医ではなく、ファーストの主治医として、患者さんに責任を持っています。指導医・副指導医が他職種や患者会とともに研修医をサポートする中小規模病院ならではの地域一体型の研修を行っています。必要な手技・症例の経験だけではなく、時代や知識が変わっても「患者さん中心の視点」で対応できる「問題解決能力・自己学習能力」の取得を大切にしたいと思っています。

■研修医密着体験記

2004年からはじまった新医師臨床研修制度も丸6年が経過し、研修制度の変更も行われています。

「卒後研修」の今後にはみんなが関心をもっていることだと思います。では実際の研修の様子はどんな感じなのでしょうか。土庫病院の初期研修を見てみましょう。

7:30 朝回診

ミーティングで論議した内容を踏まえて受け持ち患者さんのところへ。

8:30 指導医・研修医ミーティング新入院カンファレンス
ミーティング

毎日、朝の短時間で昨日までの受け持ち患者さんの振り返りと新しい受け持ち患者さんの状態を指導医チームと確認し、今後の治療方針を検討します。

短時間で他の先生方がわかるようにプレゼンテーションしないといけないので、プレゼン能力が磨かれます。また、指導医や上級医の先生から足りていない視点やフィードバックをかけられるので、今の自分に足りていないところが明確にされます。

8:45 医局申し送り
医局申し送り

昨夜の当直帯での状況や入院となった患者さんの状況を当直医師が報告し、空床状況や今日1日の医師の動きや会議の予定などを医局全体で確認します。

9:00 外来研修
外来研修

7月から病棟で受け持っていた患者さんのフォロー外来からはじまり、徐々に外来数を増やしていき、12月からは名前を出して外来単位をもちます。

外来では紹介状を持たない新患さんを主に担当します。病棟とは違い、限られた時間で患者さんを診て、診断する力が求められます。

もちろん指導医のフォローのもと研修しているので、すぐにコンサルトできます。

9:00 救急研修
救急研修

9ヶ月目からは、救急搬入依頼がある場合にファーストコールされるようになります。
救急車の搬入依頼もあれば、歩いて救急受診される患者さんもおられます。歩いて受診される患者さんの中には、重大な疾患が隠れている場合もあります。
頻度の高い救急疾患の治療はもとより、重大な疾患を見逃さないことが求められます。

また、病院職員や医学生さんを対象に一次救命処置を指導したりもしています。

お昼休み

日によって、研修内容によって、受け持ち患者さんの状態によって時間はまちまち。
食事はお弁当を注文するか、入院食の検食などです。自分でお弁当を作ってくる先生もいます。

14:00 病棟カンファレンス

患者さんの退院にむけて今後の治療方針など主治医として、看護師・栄養士・薬剤師・ケアワーカーなどの多職種を交えてカンファレンスをしています。そこでは医師だけではなく、他職種からの意見やフィードバックなども勉強になります。

14:00 往診研修
往診研修

在宅復帰した患者さんに継続して関わる往診研修もしています。もちろん指導医も同行しますが、患者さんの主治医として継続して診ています。

15:00 各種委員会への参加
各種委員会への参加

Nutrition Support Teamの一員として委員会に参加しています。時には講師となって他職種向けに講演などおこなうこともあります。質問される立場になるので、事前学習は欠かせません。

16:00 病棟研修
病棟研修

1年目の6月から病棟研修が始まります。最初は3~4人の受け持ち患者数から徐々に増えていき、最大では10人位まで受け持つこともあります。総合内科病棟での研修なのでいろんな疾患をもつ様々な患者さんを受け持ちます。

19:00 帰宅

日によって変わりますが、主治医として患者さんと関わり、責任をもって研修しているので、患者さんの状態次第では遅くなったりもします。

早く帰れる日は、上級医の先生や同期の仲間とご飯に行ったり、他職種のスタッフと飲みに行ったりもします。

病棟詰所・医局でカルテ(書類)書き
病棟詰所・医局でカルテ(書類)書き

カルテや書類を書くことも大事な仕事です。

受け持ち患者さんが様々な制度を利用するために、必要な書類を主治医として作成することも研修の一環です。

地域(住民)への啓蒙活動
地域(住民)への啓蒙活動

地域住民の方や患者会の方々むけて、疾患についての勉強会や疾病予防活動について勉強会をしています。普段病院にかからない人にも知識を持ってもらうことで地域の健康を守る啓蒙活動にも尽力しています。

医局で休憩

忙しい研修の合間をぬって医局で休憩します。談話室では院長が昼食をとっていることもあり、ここぞとばかりにコンサルトをしたりもします。

上級医師へのコンサルト
上級医師へのコンサルト

医局はひとつなので全員の顔がわかります。

内科だけでなく、外科や小児科の先生にも気軽にコンサルトができ、先生方も丁寧に指導してくれます。

先輩研修医・指導医・研修プログラム責任者の声

スタッフからの声をまとめています。

横山医師
研修プログラム責任者
横山知司医師
奈良県立医科大学 1981年卒

初期研修は、患者さんの生活現場に近い場所でプライマリな研修をするべきだと考えています。その後、患者さんが求める医療を提供できる医師となるためにこれを学びたいという想いをもって、後期研修や専門研修に進むべきと考えています。将来に何科を選ぶとしても、初期研修期間を含めた5年ほどで医師としてのマインドが構築されると思います。初期研修は、スキルだけではなく医師としてのマインドを身に付ける重要な時期です。
病院に来た患者さんや特殊な疾患だけを診るのではなく、病院に来ない地域の人々までも見るという意識を初期研修期間に培ってほしいと思います。
地域医療で患者さんから求められるものは何か?その求められるものに対して自分は何ができるのか?ということを考え、患者さんの目線に立つことが重要であり、初期研修で身に付けて欲しいことだと考えています。それがマインドだと思います。
世界的な医学教育では、地域に根ざした病院での研修がスタンダードになっています。当院のような地域の中小病院は、医療と介護の「交差点」に位置し、その間にある多くの役割を担っています。そういった地域に根ざした病院に初期研修から後期研修を含めて身をおき、じっくりと研修することがやりがいがあり重要だと考えています。
研修医の二人には、生物学的な問題だけではなく、患者さんの不安がどこから来ているのか、その不安を解消するにはどうすればよいのかという心理的社会的な問題までも考えられる医師になってほしいと思っています。